【官能短編小説】 淫女たちの生存競争(サバイバル) 1 〜愛理と奈々美 廃虚遊びの果てに〜【SEI’s factory】











囚われた少女たちが強要されたのは、恥辱に満ちたサバイバル・ゲームだった。とある金満家の老人をどちらがより楽しませることができるか。勝者には生存が、そして敗者には……。なりふりかまわず生き残ろうとする少女たちは、媚びを売り、快楽奉仕をし、さらに歓心を買うための変態行為にも挑んでいく。自らの女体を汚すウエット&メッシープレイへと……。
文字数:28,951字(長編小説の約1/3の文量)
※表紙と挿絵にAI生成画像を使用しています。
【冒頭部分】
1
マジック・ミラーの向こうで、少女がそっと自分の胸に手を置いた。バストにどれくらいの魅力があるか、不安になったのだろう。
黒地にピンクの派手なプリントが入ったTシャツの胸を突きだし、乳房の下あたりを服の上から押さえている。そうやると丸い膨らみが強調され、乳房の形がはっきりと分かった。
まるで鏡の向こうからこちらを扇情しているようだ。
悪くない、と零児は思う。
大きすぎず小さくもない。Cカップといったところだろう。形も美しそうだが、いまは下着がいくらでも体型をカバーしてくれるから確信は持てない。女がその種の虚勢にどれくらい熱心か、ホスト時代に知りすぎるほど知ってしまった。
鏡の向こうで、少女は胸を押さえつつ、横を向いてヒップに手を添えた。二十歳前の女性らしく、短く切ったデニムのパンツだ。すらりと伸びる脚と、その上にぷりんと息づく丸い双丘はなかなか魅力的だ。そして小顔。いまどきのモデルのように見えなくもない。
だがな、お嬢さん。
そうとは知らず自分にプロポーションを見せつけている少女に、零児は呟いた。問題はあんたの体のきれいさじゃないんだよ。今夜の客は、あんたがどれだけ願望を満たしてくれるかを望んでいるんだ。果たして自分の望む通りに乱れ、媚びを売り、淫靡な声で啼いてくれるか──。
女体の美しさなんて二の次だ。
少女はそれもうすうす分かっているのだろう。自分の若い丸みをチェックしながらも、瞳には怯えの色があり、唇は微かに歪んでい
る。
(気に入られなかったら、おまえはおしまいだからな──)
部屋に入れる前に告げられた言葉が、耳の奥で反芻しているに違いない。
告げたのは自分だ。もう何人の女に、その非情な宣告をしてきただろう。
携帯が鳴った。門番を命じてあるスタッフからだった。「お着きになりました」
お通しして、くつろいでいただけ。そう指示してパタンと携帯を閉じる。さて、いよいよだ。
零児は女のいる隣の部屋へ歩いた。ノックもせずいきなりガチャリとドアを開ける。礼儀を必要とする人間的な関係などもう崩壊していることを知らしめるためだ。
鏡の前に立っていた若い女が、びくりと身を震わせた。表情がたちまち恐怖の色に彩られた。
「気持ちの準備はできたか」
穏やかに聞いてやる。少し安心したように少女は頷いた。
「おまえが相手をするお客様がいらっしゃった。これから何をするか、俺が説明したことを覚えてるか?」
少女はおそるおそる頷いた。
「相手の男の人に……気に入られるようにする……」
「そう。どうやるかはおまえが自分で考えるんだ。いくぞ」
冷たく背を向けると、叫びにも似た問いが投げつけられた。
「ねえ、奈々美はどこにいるの? 男の子たちは?」
零児はゆっくりと振り向いた。真っ青に怯えている少女に言ってやる。
「男二人は利用価値がないからな、適当に処理して放り出した。連れのもう一人の女は、別の部屋に監禁してある。おまえの次に、お客様の相手をさせる。さっき説明したように、どちらが気に入ったかお客様に判断してもらうんだ」
「気に入られなかったら?」
零児は表情を消した。
「生存競争(サバイバル)に負けたほうの女には、未来はない」
無機質な壁。その一面だけがオープンラックとなっていて、さまざまな道具が置かれている。プレイ・ルームと名付けられた部屋で、今夜の客はひじ掛け椅子に座ってビールを啜っていた。
皺の浮いた顔。薄くなった頭髪。既に老境に差しかかっているが、男に枯れた感じはない。反対に、権力を握ったものだけが持つ妙な生気を、スーツに包まれた痩せた体から放っていた。大抵の快楽は知っとるよ、という顔をしている。
零児は皇帝のように待っていた客に一礼し、少女の手を引いて彼の三歩手前まで歩くと、改めて頭を下げた。
「お待たせいたしました」
男はグラスを持ったまま、少女を見上げた。
「これが今夜の出し物か。いかにもその辺を歩いているお姉ちゃんじゃな」
「お気に召しませんでしたでしょうか」
「いやいや、いまどきの若い娘は大好きじゃ。一度まったくの素人を好きにしてみたかったからのう。そういう趣旨なんじゃろ、この
ゲームは?」
少女の眉がかすかに上がった。
これはゲームなの? ということは、私は駒?
少女はうつむき、顔を赤らめて、これから起こることの予感に身を震わせている。その膨らんだ胸や短デニムから伸びる脚を、客は好色な眼で眺めていた。
零児が言う。
「おっしゃる通り、このゲームは、プロの女たちに飽きた皆様に、素人娘を提供するのを目的としております。怯えている素人娘二人が、いかに自ら恭順を誓い、雌犬となるか、その従順度を競わせます。ちなみにこの二人は三時間ほど前、郊外の廃虚となった病院に侵入しているところを拉致してきました」
「というと?」
「地元では『幽霊病院』として有名なスポットを、男女四人で遊び半分で訪れたようです。幸いその物件は私どもが押さえていて、カメラを入れてあるので侵入者はすぐ分かります。近場から人をやって、二人の男は放り出し、女二人だけ拘束しました。夜遊びの好きな、普通の娘です」
ほう、と客は声を上げた。正真正銘の素人娘と聞くと、Tシャツの膨らみもいちだんと美味そうに見えるのかもしれない。
客がすぐにでも手を伸ばしたがっているのを見て、零児はプレイの進行に入った。
「それでは早速ですが、今夜のゲームについて、改めてご説明します」
感情をまじえない声が、広さ十畳ほどの洋室に響く。
「ゲームのルールは簡単で、別々にお相手させる二人のうち、お客様はプレイの後で気に入ったほうをご指名ください。勝者と敗者にはそれぞれ違った未来が与えられます」
「お嬢さんたちには、よく言い聞かせてあるんじゃろうな?」
ビールを手に、客はのんびりと聞く。
「その点はご安心ください。プレイはすべてDVDに録画してあるので、もし本人が馬鹿なことを考えれば、名前と連絡先の入った画像が一斉にネットで出回ります」
「口封じは完璧という訳か。負けた娘はどうなる? なんなら、儂が親しくしている方面のルートを紹介してもいいぞ」
「いえ、せっかくですが──そちらもきちんといたしますので」
そこで零児は口調を変え、少女に向いた。顎に手を掛け、うつむいている顔をぐいと上げさせる。
「いいか、生き残りたかったら、ありとあらゆる方法で、お客様に気に入られるんだ」
少女はわなわなと震えている。やっと言葉を搾り出した。
「あらゆる方法って──どんなことをすればいいんですか?」
「そうじゃなぁ」
場違いに明るい声で、客は教えてやった。
「この間の娘は、自分で股ぐらに玩具を突っ込んで、四つんばいで部屋をぐるぐる回っとったよ。脚にすがりついてきたから蹴飛ばし
てやったら、犬の真似をしてキャインと鳴きおった」
少女は青ざめて自分を抱きしめた。震えがいっそう酷くなる。
零児が言った。
「お客様に訊ねたらどうだ。どんな芸をする雌犬がお好みですか、と」
少女は蒼白な顔を零児ではなく、初老の男に向けた。唇がわなわなと震えている。
ほんの数時間前まではちょっとした火遊びのつもりで男たちの車に乗り込んだ結果、負ければどうなるか分からないゲームに参加させられているのだ。
彼女は栗色の髪を振った。いまだに我が身に起きていることが信じられないが、ここはやれるだけのことをやるしかない──つまり、好色そうな相手の歓心を買うことだ。
赤くルージュを引いた唇が開いた。
「どんな……雌犬が……お好きですか」
ふぉっ、ふぉっ、と初老の男は笑った。こうやって若い娘を屈服させるのが楽しくて仕方ないだろう。富や権力で他人の生殺与奪を
自由にすることほど楽しいものはない。まして相手は、薄い夏服から弾けそうな肢体を覗かせている若い娘なのだ。
「そうだな、儂の好みか」
男は勿体ぶって言った。
「儂なんてノーマルなもんじゃ。女の肌を鞭で痛めつけたり、蝋燭を垂らしたりするのはどうも苦手でのう。ただひとつ言えば、女が自分で自分を汚していくようなのがいいのう。進んでそんなことをする娘から命乞いされると、思わず助けたくなるかもしれん」
「と申しますと、スカトロということですか?」
零児の問いに、少女は思わず口に手を当てた。スカトロのなんたるかを知っているのだろう。
客は鷹揚に首を振った。
「いやいや、臭いのも好かん。そうじゃな、よくあるじゃろう。ローションとか、ときには牛乳やペンキをかぶって、女体が異物まみれになるものが」
「ウエット&メッシー、ですか」
「それじゃ」
零児は客の背後に控えるスタッフに指示を出した。
「すぐに床をビニールで覆う準備をしろ。それからローションを用意して、コンビニで牛乳を買ってこい。あとは──」
少女を見た。
「この女がプレイ中に欲しがるものがあったら用意してやれ」
は、と短く答えてスタッフは飛び出していった。少女はひと言も口をきかず、ただ身を震わせるばかりだった
ではご自由に、と零児は部屋の隅に下がった。椅子に腰掛けた客はうまそうにビールを飲み干すと、それを置いて少女に歯を剥いた。
「さ、おいで、お嬢ちゃん。──名前はなんというのかな?」
「……愛理」
少女が答えた。
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